そう、水分をとれそうな植物もないし、タンパク源の動物も虫もいない。あるのは塩水だけなんだ。なんとか蒸留装置ってのを作ってみてね。蒸留された水はそこそこいけたね。けれど水だけでやっていける日数ってしれてる。三人はだんだん危機感に包まれていくんだ。
コトダくん、その話ってどう展開するのかな
網球肘。
僕は次の取材場所に行かなければならないので、少し焦ったように言ってみた。
ここでナマコ、いや、ナメコが登場するのさ。ナメコって茸だよね。ナマコはシーキューカンバーって生き物だよね。
うん
康泰領隊。
じゃ、ナメコだ。
一週間が経ち、三人から生気が失われるんじゃないかってぎりぎりのとき、「見て!」ってお母さんが言うんだ。
けっこう、かなり明るい声でね。驚きはあるけれどなんだか嬉しそうな声なんだ。見るとお母さんの足や腕、特に日によくやけているところに茸が生えてるんだ。
椎茸みたいな大きな茸じゃない。けれどぎっしりと腕や足に栽培してるみたいに小さなしめじのような茸が生えているんだ。そしてそれは見ている間にも少しずつ大きくなっていくように見えるんだよ
防皺祛皺。
そこでお母さんはナメコに似ている、いやナメコとシメジの間のような茸を一本そっと抜こうとする。痛いのかなって思うけど全然痛くないんだ。お母さんは自分でそれを食べてみる。すると結構おいしいんだ。キノコっていうより自然の恵みを凝縮したような味で、特に苦かったり、匂いが強いわけじゃないんだ。